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with LOCAL | インタビュー vol.01

京都 高台寺の
素敵な工房にお邪魔しました。

起源は、平安時代まで遡るといわれている京金網。
伝統技術を生かしながら現代の生活に溶け込む金網製品を作る
「金網つじ」二代目の辻 徹(つじ とおる)さんに、
辻さんのモノづくりの思いをお伺いしました。

二代目 辻徹

PROFILE

「金網つじ」 二代目 辻 徹(つじ とおる)さん

家業を継いで21年。
いろんな方の声を道具作りに活かし、日々邁進中。

~「金網つじ」vol.1~

≫ 辻さんが家業を継がれた経緯を教えてください。
金網つじの職人

辻さん:最初は家業を継ぐ気はなく、洋服の販売をしていました。当時は「お商売を上手にしたい」という気持ち一心でしたが、3年ほど経ったときにふと、「自分が本当にやりたいことはこれではない」と思いはじめました。仕入れたものを売る、ということに飽きていたんです。そんなとき実家に帰り、朝の4時5時から一生懸命仕事をしている、昔から見ていた変わらない父親の後姿を見たときに、「やってみようかな、自分で作って売ったら良いのでは」と思ったのが始まりでした。「自分で作ることができたらもっと喜びが倍増するだろうし、もっと仕事が面白くなるのでは」と決心しました。
京都で二代目というのは、ベンチャーとも言われるくらい、若いんです。正直、最初は二代目ということに引け目を感じていました。でも京都の若手後継者で結成している「GO ON」の一人、茶陶「朝日焼」十六代目の松林さんに「朝日焼の二代目も、辻くんみたいに必死で働いてたと思う」と言われたとき、「そうか、この時代だからこそ二代目で活躍できることがあるのでは」と気付かされ何を発信していけば良いかと考えるようになりました。



≫ 辻さんご自身、今、どういう思いで伝統を継いでいらっしゃるのでしょうか。
金網つじの職人

辻さん:物を売るときには美しいデザインが必要。でもデザインが必要だからといって忘れてはいけないことは、使い手の気持ちです。「良いデザイン」とは、皆それぞれにイメージするものが違います。その「良いデザイン」を追いかけていっても意味がないと思っていて、結果的に色々な日本の食材を盛り付けられて使い勝手が良い、手入れしやすい…そういった「使う道具」が、5年後10年後には「良いデザイン」になると思っています。
コロナで今までと生活が変わり、家の中で生活する時間そのものに、向き合い考え直す良い機会になったと思っています。私たちが作っている道具は「伝統工芸」というジャンルではあるものの、どの時代も脈々と私たちの道具、いわば「ロングランヒット」をご愛用くださるお客さまがいて、そのお客さまが喜んでくれて、さらに要望にお応えして新しい道具を作って今まで残ってこられました。昔の職人が想像もできなかった、この今この状況で何を作ったら喜んでもらえるのかを考え、私たちの生み出す「使う道具」でお客さまの生活を豊かにできたら良いなと思っています。

vol.2 はこちらから

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