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クロニクル 乙女なブロカント04



クロニクル香川さんに学ぶ


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前回の記事でご紹介したクロニクルの店頭に並ぶ素敵な家具たち。
今回は、その完成までの裏側をお届けいたします。



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クロニクルの家具はイギリスやアメリカで買い付けられた後、
家具のお店「at's」の工房で修繕されています。
取材当日、神戸にある工房では年代物の家具の塗装を剥離する作業が行われていました。
せっかくの素敵な家具の塗装を剥がす...?どういうことなのでしょうか。







家具の今と昔

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おしゃれな家具が安価で手に入る時代。
使えなくなったら買い替える、引っ越したら心機一転新しくする
という考えをお持ちの方も多いと思います。

しかし昔、特に西洋において、家具は家族で代々受け継いでいくものと考えられていました。

そんな時代に作られた家具は、やはり現代にはない良いところがたくさん。
オーク、ウォールナット、マホガニー、チェリー、メイプル、チーク等々…
アンティーク家具に使われている木材の多くは良質で重厚感があります。
引き出しのつなぎ目などには現代の高級家具にも用いられる蟻組という技法が用いられ、
金属部品を使わず耐久性のある作りで仕上げられています。

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一生ものどころか、自分がいなくなった後も受け継がれていくものとして作られていたのですから、現代のものと作りが違うのも頷けます。
良い家具を見分けるポイントは美しい木目や光沢感、手触りの良さなど外側の部分だけではありません。 例えばチェストの場合、引き出しにも耐久性のある良質な木材を使用しているため、引き出しの奥行きが深いです(中にぎっしり入れても重さに耐えられるため)。 木製の家具を見られる際に、ぜひ一度引き出しの奥行きを見比べてみてください。1つの目安となりますよ。









一時的な応急処置ではなく、長く愛用するための修繕

at'sで修繕されている家具も、どれも古い時代に作られたものばかりです。
しかし、いくら頑丈な家具でも、使っている内に傷や歪みなどの劣化が出てきます。
それを取り除き、安心して使える状態にするのがat'sの得意とするレストア(修繕)です。





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英国製ドローリーフの天板。コップの輪染み跡、擦れ傷や凹凸が目立ちます。
表面はベタッとした手触りが気になる状態。
こういった傷は、上からステイン剤やワックスを塗り重ねることで
見た目は多少改善されるかもしれません。
しかし、毎日の生活で使用して拭いてを繰り返すと、
それらは一定期間で剥がれてしまいます。



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at'sではこの表面をまず研磨または薬品を使用し一度綺麗に剥離します。



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粗目から細か目のやすりを何段階にも使い分けて、スベスベになるまで整えていきます。



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この地道な作業、実は木材が持つ魅力を最大限引き出すためにも
とても重要な工程なのです。綺麗に整えてから色を重ねた場合と、荒いまま重ねた場合を比べると
木目の引き立ちかたが全然違うことが分かります。
木が持つ美しい模様を最大限味わうためには、表面を綺麗に整えることが不可欠なのです。



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経年劣化で曲がってしまっている支柱や補助木は、専用の器具で骨格を矯正したり、
時には同種の新たな木材を製作、加工し部材ごと交換を行ったりもしています。
開けづらかった引き出しも、この作業を行い綺麗に整えることで、
小指一本で開けられるまでに仕上げていきます。




この後、いよいよ塗装に入っていきます。
使用する塗料はその家具の特徴、材質の特性に合ったものを
吟味し決定します(ウレタン、ラッカー、ワックス仕上げなど)。
アンティーク家具独特の風合いを壊さず最適な仕上げを行うため、
自社で着色料の調色、塗料の艶度合いの調合などを行っています。
装飾の部位ごとに陰影を際立たせるために濃淡を付けたりと
様々な技術を駆使して丁寧に、慎重に塗り進めます。
家具のデザインやテイストによっては、エイジング加工
(わざと角をけずったり古い木材を混ぜたりしてユーズド感を強める作業)を施す場合もあります。



今回のテーブルは仕上げにウレタン塗装(耐水、耐熱、耐汚に優れている)を施しました。
この仕上げにより、ご自宅での家具のお手入れが楽になります。



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実は家具の修繕を20代後半で始めるまで、大手フィルムメーカーに勤めていたという代表の津田さん。 そこで習得した色の4原色の知識が、以外にもこの色作りの工程に役立っているといいます。 修繕するからといって、その家具が持つ趣ある雰囲気まで無くす訳ではなく、むしろより引き立てる作業を行うのです。 何十年とこの分野で活躍してきた津田さんをはじめとする職人さんの感覚や知識があってこそできる技です。








ご購入いただいたその後が大事だから

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クロニクルでご購入いただいた家具は、このat'sの工房で修繕を承っています。
ちょうど訪問したタイミングで職人さんが修繕に取り掛かっていたのは、
なんと20年前にご購入いただいたテーブルたち。
長く愛用してもらうために、ご購入後のアフターケアも怠りません。



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アンティークショップで一目惚れし購入したものの、店舗で少し見たり触れただけでは気づけなかった内側の歪みや隠れた傷があることも。 縁を感じた家具がご自宅に納品された後に、そういった不安な箇所が現れて残念な思いをして欲しくないから。 クロニクルでは、お客様の生活に末長く寄り添える様、ご購入いただいたその後にまで思いを馳せ、強い責任感と愛情を持って修復された家具をご提案させていただきます。










9月14日(水)~の乙女ブロカントマルシェでは、
このイベントのために買い付け、修繕をした新入荷の家具が勢ぞろい。
さらに、レストアを担当している家具のプロ、at'sの職人さんも在店。
豊富な種類の中から、職人さんと直接話して選べるスペシャルな期間です。
毎年楽しみにしてくださっているお客様も多く、初日で完売となるアイテムも多数ございますので、
会期の早いうちにご来店いただくことをおすすめいたします!