杉寄木割口花器(中川 周士)
中川 周士 / Shuji Nakagawa
杉を寄木の技法で組み合わせ、削り出して制作した作品。
木目がしっかりした杉材を組み合わせることで、削り出した表面に細かな木目が連続して現れ、中央から放射状に広がる幾何学的な文様をつくり出している。
大きく切り込んだ口縁と、丸みをもたせたフォルムによって、見る方向によって異なる印象を与える。
サイズ:W380×H370×D175mm
素材:杉
制作年:2026年
【作家プロフィール】
1968年京都市生まれ。
滋賀県大津市を拠点に活動する木工芸作家・アーティスト。
京都精華大学で立体造形を学び、卒業後は現代アートの分野で作品を発表する一方、家業である中川木工芸に携わった。重要無形文化財保持者である父・中川清司のもとで、木桶制作をはじめ、指物や刳物などの高度な木工技術を修得。2003年に「中川木工芸 比良工房」を設立した。
中川の制作は、現代アートにおける造形的な思考と、家業を通して受け継いだ伝統木工の技術が交差する地点から生まれている。日本の伝統的な木桶を単なる器や生活道具としてではなく、木を曲げ、組み、タガで締めることによって成立する構造体として捉え、その原理を彫刻的な表現へと展開している。
木材に加わる緊張や反発、内部と外部、空洞と量塊、作品と周囲の空間との関係は、中川の作品を構成する重要な要素である。円形を基本とする木桶の構造に鋭い輪郭や幾何学的な変化を与えることで、用途を超えた自律的な造形を生み出し、見る者の身体感覚や空間認識に働きかける。
中川にとって伝統とは、過去の形式をそのまま保存することではなく、現代における新たな表現を生み出すための技術であり、思考の体系である。現代アートの視点と、長年培われてきた手仕事の知恵を結びつけながら、木という素材に内在する生命性、構造、時間の可能性を探究している。
代表作《KI-OKE Stool》は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館およびパリ装飾芸術美術館に収蔵。
2017年には第1回ロエベ クラフト プライズのファイナリストに選出された。
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